パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト

新宿ミラノ1 ★★☆

■目まぐるしいし、遊びすぎ

情けないが、前作(2003)の記憶はもうすでにほとんどない。海賊+ファンタジー的要素のイメージが残っているだけ。自分の好みとしないところが残っているということは、つまりそんなに評価できなかったのだろう。結論から言ってしまうと、今回も似たようなものかも。が、ファンタジー部分で前回ほどの抵抗は感じなかった。骸骨海賊よりは半魚人の方がいいかなという程度なのだけど。

ウィル(オーランド・ブルーム)とエリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、結婚式の直前にジャック(ジョニー・デップ)を逃した罪で投獄されてしまう。提督がウィルに示した放免の条件は、ジャックの持つ羅針盤を手に入れることだった。これで3人が出会うお膳立ては完了。だって、ほらね、エリザベスは脱獄してウィルのあとを追ったもの。

そのジャックだが、前作で海賊バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)との死闘のすえブラックパール号には戻れたものの、幽霊船フライング・ダッチマン号の船長デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)と契約した13年の支払期限が迫っていた。ジャックはブラックパール号を手に入れるため自分の魂を負債にしていたのだ。

この幽霊デイヴィ・ジョーンズとの約束もだけど、彼の心臓が入った宝箱(デッドマンズ・チェスト)やジャックの不思議な羅針盤、さらにはこれまたジャックとの関係も怪しげな女霊媒師?ティア・ダルマ(ナオミ・ハリス)なども現れて、いくらでも設定自由ときてるから、逆にどうしても本気で観る気になれない。ましてや最後になって、この作品が次回作への橋渡し的位置にあることがわかっては、力が抜けざるを得ないというしかない。

そうはいってもさすがに夏の本命作ということで、見せ場は山とある。前作から3年も経つのに主要配役はすべて確保してだから、力の入れ具合もわかるというものだ。

デイヴィ・ジョーンズの操るクラーケンという大ダコの怪物はド迫力(でかすぎて全体像も見えないのだ)だし、デイヴィ・ジョーンズのタコ足あごひげの動きにもつい見とれてしまう。ただ、人食い人種族から逃げ出すところや、外れてころがる水車の上での3つ巴の剣戟などは、それ自体はよく出来ていても大筋には関係ない余興で、だから観客も例えば宝箱の鍵の争奪戦という目的を忘れかねない話の拡散ぶりなのだ。また笑いの要素もそうで、それがこの映画の持ち味にしても、全体に遊びすぎだろう。

ウィルの父親ビル・ターナーまで登場(バルボッサの怒りを買って靴紐を砲弾に縛られて海中に沈められていた)して、話はますますややこしくなるばかり。ウィルは鍛冶屋見習いだったはずだが、父親は元海賊なんだ(私が忘れているだけなら、ごめん)。詰め込みすぎだから、ジャックの手に表れる黒丸の意味も忘れていて、なんだよせっかくのラブシーンなのに、となってしまう。

それにしてもウィルと式直前までになりながら、ジャックにも惹かれてしまうエリザベスっていうのもねー。ウィルは今回活躍場面も少なかったし、ジャックとエリザベスのキスシーンまで見せられちゃうわで、同情申し上げますです。

あと、デイヴィ・ジョーンズが、海で死んだすべての男の魂を牛耳っている(海で命を落とし適切に埋葬されなかった者が、命は尽きているのに死ぬことは出来ずに彼の船員にされてしまう)のであれば、前作の海賊バルボッサたちとはどういう関係にあるのだろう。

演出で気になったのは、クラーケンの出現にジャックがブラックパール号から早々に逃げ出してしまう部分。こんな簡単に捨ててしまうものを、自分の魂と引き換えにしてたのかよ。まあジャックは、ちゃんと引き返してくるんだけど、でもあの場面では相当ボートを漕いでいたんだけどねー。

帰ってきたジャックはクラーケンとの闘いで姿を消す。で、このあとは3作目を乞うご期待、だって。はぁ、さいですか。

 

【メモ】

自分の魂でなければ、100人分が必要。

ジャックに「いざとなったらあなたは正しいことをする」とエリザベス。

「(デイヴィ・ジョーンズが近づけないように)陸を持ち歩きなさい」とビンに土を入れる。

エンドロールのあとの映像は、犬が酋長の椅子に座っている場面。やっぱり捕まっちゃったんだ。んで、ジャックの代わりに食べられちゃうのだな。

原題:Pirates of the Caribbean: Dead Man’s Chest

2006 151分 シネスコサイズ アメリカ 日本語字幕:■

監督:ゴア・ヴァービンスキー 制作:ジェリー・ブラッカイマー 脚本:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ 撮影:ダリウス・ウォルスキー 編集:スティーヴン・E・リフキン、クレイグ・ウッド 音楽:ハンス・ジマー

出演:ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)、オーランド・ブルーム(ウィル・ターナー)、キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン)、ビル・ナイ(デイヴィ・ジョーンズ)、ステラン・スカルスガルド(“ブーツストラップ”・ビル・ターナー)、ジャック・ダヴェンポート(ノリントン)、ケヴィン・マクナリー(ギブス)、ナオミ・ハリス(ティア・ダルマ)、ジョナサン・プライス(スワン総督)、マッケンジー・クルック(ラジェッティ)、トム・ホランダー(ベケット卿)、リー・アレンバーグ(ピンテル)、ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ)

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