ストレンジャーズ 戦慄の訪問者

新宿ミラノ3 ★

■未解決事件をデッチ上げ解釈してみました(そうかよ)

プロポーズの場を演出した自分の別荘に、クリスティンを連れてきたジェームズだが、結婚に踏み切れるまでにはクリスティンの気持ちはなっていなかった。申し出を断られたジェームズは落胆し、頭を冷やそうと別荘を出ていく。

二人の微妙な位置関係がわかったところで、深夜の訪問者による恐怖に巻き込まれていく(実は最初のノックがあった時は少しだけいい雰囲気になりかけていた)のだが、手をかけて説明した二人の関係やその心理状態が、まったくといっていいくらい生かされていないのはどうしたことか。

どころか、恐怖に遭遇したことで、愛していると言い合ったりでは、あまりに情けないではないか。いや、人間なんてそんなものかもしれず、だからそこまで踏み込んで描けたら、それはそれで面白い映画になったような気もするのだが……。

思わせぶりな演出は、この手の映画にはつきものだからとやかく言わないが、相手は現実の三人で、そうか、「実際の事件」(これについては後述)と断っていただけあって、心霊現象なんていうインチキで逃げることはしないのだな、といい方に納得できてからは、逆にますますつまらなくなっていく。

ジェームズの親友のマイクが早めに来てしまったことで誤射事件という悲劇くらいしかアイデアがなく、あとはおどかしだけで突っ走ろうっていうんだから、虫が良すぎ。85分という短めの上映時間なのに、それが長く感じられてしまう。

電話も車も壊されてしまったため、納屋にある無線機で外部と連絡を取ろうとするのは納得だが、別行動をとる必要があるんだろうか。いくらなんでも進んで、餌食になりますよ、はないだろう。

巻頭、「実際の事件に基づく物語」という字幕に続いてもっともらしい解説があったが、未解決でほとんど何もわかっていない実際の事件、って、そりゃどうにでもできるよね。

で、映画のデッチ上げは、犯人たちは車で移動しているストレンジャーで、殺人もしくは人を恐怖に陥れるのが趣味の三人組の犯行、なんだって。はいはい。そして、主人公たちは見事彼らにやられてしまう。んー、怖い話じゃないですか。けど、出来た映画は怖いどころか退屈。

最後の付けたし場面も意味不明の、いいとこなし映画だ。

原題:The Strangers

2008年 85分 アメリカ シネスコサイズ 配給:プレシディオ PG-12 日本語字幕:川又勝利

監督・脚本:ブライアン・ベルティノ 製作:ダグ・デイヴィソン、ロイ・リー、ネイサン・カヘイン 製作総指揮:ケリー・コノップ、ジョー・ドレイク、ソニー・マリー、トレヴァー・メイシー、マーク・D・エヴァンズ 撮影:ピーター・ソーヴァ プロダクションデザイン:ジョン・D・クレッチマー 衣装デザイン:スーザン・カウフマン 編集:ケヴィン・グルタート 音楽:トムアンドアンディ 音楽監修:シーズン・ケント

出演:リヴ・タイラー(クリスティン・マッケイ)、スコット・スピードマン(ジェームズ・ホイト)、ジェマ・ウォード(ドールフェイス)、キップ・ウィークス(マン・イン・ザ・マスク)、ローラ・マーゴリス(ピンナップガール)、グレン・ハワートン(マイク)

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