雷神 RAIJIN

新宿ミラノ3 ★☆

■雷神パパって素敵!?

体に爆弾を埋め込まれた女性を助ける冒頭のアクション場面で、早くもこの映画の駄作ぶりが確信できた。

メンフィス市警の刑事ジェイコブ・キングは女性が苦しんでいるのを犯人が楽しんでいるはず、と現場前にあるアパートに乗り込んで行くのだが、タイムリミットはたった4分。沢山ある部屋からどう割り出したのかってこともだけど、そこに行くまでだって2、3分はかかってしまうだろうに。

犯人のビリー・ジョーと対峙しても、起爆装置の外し方は、彼をいたぶることで聞き出そうとするばかり。ビリーが白状したからいいようなものの(もう爆発してる時間じゃないの?)、けれどジェイコブは、ビリーの答えとは違う線を切らせる(おい、おい)。ビリーを女性のところに連れて行けば(そんな時間はなかったか)ビリーは起爆装置を止める他なくなるのに、頭が悪すぎでしょ。

そうしなかったのは、単にジェイコブの格闘場面を挿入したかっただけみたいなのだが、けれどこれが、殴る動作ごとにカメラの位置を切り替えるという極端なカット割りになっていて、まるでこうでもしないと、もはやなまってしまったスティーヴン・セガールの動きをカバーできないと白状してしまっているかのようなのだ。だってこのカット割り、最後まで全部これなんだもの。苦肉の策にしてもなぁ。

ジェイコブの次なる使命は、これまた女性を狙った狂信的な犯人で、被害者の女の体には必ず占星術の記号が残されていた。ジェイコブは図書館に行ったりして、その謎解きにも精を出す。ちゃんと頭を使っていることをひけらかしたいのだろうが、そして女っ気も断って努力しているみたいなのだが、それ以上にヒントが向こうからやってくるような展開だから、余裕なんである。図書館の女性司書が歌詞の出どこを教えてくれるし、犯人のラザラスは逃げるときに手がかりの財布を落としちゃう!し。

そのラザルスだが、神の領域にまで達している(勘違いにしても)っていうんだが、まるで怖くないのだ。ジェイコブのような相手を「待ってい」て、だから居場所を隠そうとしないのは納得なのだが、なのに結局は逃げまくっていてだから、だらしない。

だからか、最後に冒頭のビリー・ジョーが釈放となって、役者不足の敵役補強とばかりに復帰してくるのだが、最初と同じケリの付け方で終わってはあきれるばかりだ。芸のないことは作り手も自覚しているようで、ジェイコブはビリー・ジョーに「この前と同じだ、懲りないな」と言うのである(だから懲りろよ)。

プロファイリングが専門で現場に不慣れな女FBIのフランキー・ミラー捜査官や、ジェイコブの豪邸に同居しているセリーヌ巡査や図書館司書など、女性を装飾品のように配置しながら、でも添え物の女FBI以外は、犯人たちの餌食になってしまう。

女FBIによって連続猟奇殺人事件の嫌疑がジェイコブにかけられるが、その時はすでにジェイコブによって犯人が挙げられていて、それはピンチのピの字にもならず、でもジェイコブは姿を消してしまう。

姿を消す意味がまったくもって不明なのだが、このあとにあるオマケ映像で、はぁはぁーん、と納得。なんだけど、これがまたまた噴飯ものなのだ。なんとジェイコブには2人の子供と若い妻がいて、その家にプレゼントを抱えて帰ってきたらしいのだ。若妻も若妻で、子供をナニーにまかせると、自分は全裸になって体にリボンをかけジェイコブを手招きする……。

うわあ、どおりでセリーヌ巡査のキスを避けていたわけだ。というかあの豪邸は何だったのよ。セリーヌ巡査とは同棲してたんじゃ? 刑事の仕事は仮の姿? だから姿を消したのか? え、なに、脚本はスティーヴン・セガール本人? それで、全裸リボン若妻なんだ!

3人組の男が私の横の席で爆笑鑑賞していたが、なーるほど、こんなふうに友達と一緒になって馬鹿笑いしながら観たら楽しいのかも。1人で観た私(いつものことだけど)は大馬鹿野郎なんでした。

原題:Kill Switch

2008年 96分 ビスタサイズ アメリカ/カナダ 配給:ムービーアイ エンタテインメント 日本語字幕:岡田壮平 R-15

監督:ジェフ・F・キング 製作:カーク・ショウ 製作総指揮:スティーヴン・セガール、アヴィ・ラーナー、フィリップ・B・ゴールドファイン、キム・アーノット、リンジー・マカダム 脚本:スティーヴン・セガール 撮影:トーマス・M・ハーティング プロダクションデザイン:エリック・フレイザー 衣装デザイン:カトリーナ・マッカーシー 編集:ジェイミー・アラン 音楽:ジョン・セレダ

出演:スティーヴン・セガール(ジェイコブ・キング)、ホリー・エリッサ・ディグナード(フランキー・ミラー/FBI捜査官)、クリス・トーマス・キング(ストーム/ジェイコブの相棒)、マイケル・フィリポウィッチ(ラザルス/犯人)、アイザック・ヘイズ(コロナー/検死官)、フィリップ・グレンジャー(ジェンセン警部)、マーク・コリー(ビリー・ジョー/犯人)、カリン・ミシェル・バルツァー(セリーヌ/巡査)

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