ブロークン・イングリッシュ

銀座テアトルシネマ ★☆

■運命の人をたずねて三千里(行きました!パリへ)

仕事にも友達にもめぐまれているのに運命の人にはめぐり会えなくって(男運が悪い)、とノラは言うのだけれど、あれだけ片っ端から恋していっては、切実感などなくなろうというものだ(いや、切実だからこそそうしてるのか)。というか、気持はわかるのだけれど、なんか恋愛をはき違えているような。

俳優との一夜のアバンチュール(でないことをノラはもちろん願ってはいたけれど)や、失恋から抜け出せない男とのデートを経て、でもなんとかこれぞと思うような相手に行きつくが、でもそのジュリアンはフランス人で、仕事が終われば帰国という現実が当然(知り合って2日目だからノラにとっては突然)やってくる。実を言うとジュリアンが何故、ノラにそんなに執心になるのかがわからないのだけど、それはまた別の話になってしまうのでやめておく。

恋に臆するような伏線があるから情熱的なジュリアンには引いてしまう(ノラ自身がニューヨークで築いてきたことを諦めなければならないということも大きいとは思うが)、という流れにしたのだろうけど、でもここにくるまでに観ている方はちょっとどうでもよくなってきてしまったのだ。筋がどうのこうのじゃなく、恋探しゲームでくたびれてしまったのかどうか、それが三十路だかアラフォーだかしらないけれど、そういった年代の恋なのか。ようするに私にはよくわからないだけなのだが。

親友は結婚してしまうし、母親からは「その歳でいいものは残っていない」なんて言われてしまうし。じゃないでしょ。で、まあ、そういう、じゃなくなる映画を監督は撮ったつもりなのかもしれないのだけれど。

どこにでもあるような話でしかないとなると、あとは結末で勝負するしかなく、実際そう思って観ていたのだが(というか、こんな覚めた目で恋愛映画を観てしまったらもうダメだよね)、結局は「偶然」でまとめてしまうのだから芸がない。もちろん、ノラがパリへ行ったからこその偶然と強弁できなくもないが、それを裏づけたり生かすような演出は残念ながら私には見つけられなかった。例えば、バーで紳士から「自分の中に愛と幸せを見つけろ」みたいな忠告はもらって、それはそうにしても、ここまできてこれかよ、なんである。

この「偶然」に照れてしまったのは案外監督自身だったか。だからか、パリへ行ってからの演出は生彩を欠いていて(好き嫌いでいったらニューヨーク篇の方がいやだけど)、ノラに対しては表面的な優しさばかりの、それこそ異国人に対するお出迎えになってしまったのだろうし、地下鉄の偶然の場面でも、ノラの内面ほどにはカメラは動揺しなかったのだろう。

原題:Broken English

2007年 98分 ビスタサイズ アメリカ/フランス/日本 配給:ファントム・フィルム 日本語字幕:■

監督・脚本:ゾーイ・カサヴェテス 製作:アンドリュー・ファイアーバーグジェイソン・クリオット、ジョアナ・ヴィセンテ 製作総指揮:トッド・ワグナー、マーク・キューバン 撮影:ジョン・ピロッツィ プロダクションデザイン:ハッピー・マッシー 衣装デザイン:ステイシー・バタット 編集:アンドリュー・ワイスブラム 音楽:スクラッチ・マッシヴ

出演:パーカー・ポージー(ノラ・ワイルダー)、メルヴィル・プポー(ジュリアン)、ドレア・ド・マッテオ(オードリー・アンドリュース)、ジャスティン・セロー(ニック・ゲーブル)、ピーター・ボグダノヴィッチ(アーヴィング・マン)、ティム・ギニー(マーク・アンドリュース)、ジェームズ・マキャフリー、ジョシュ・ハミルトン、ベルナデット・ラフォン、マイケル・ペインズ、ジーナ・ローランズ(ヴィヴィアン・ワイルダー・マン)

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