ストレンヂア -無皇刃譚-

テアトル新宿 ★★☆

■殺陣、殺陣、殺陣

アニメで殺陣を描くことを追求した作品といってしまっていいくらい斬り合いの場面が詰め込まれている。見せ方にも工夫があって、そうとう殺陣にこだわりがあるのだなと思わせるが、背景部分は大風呂敷を広げた割には雑。

不老不死の仙薬を抽出するために是が非でも必要だという少年(ここがやはり説得力に欠けるのだな)仔太郎とかかわりをもつことになる浪人の名無しが、戦国時代のとある国を滅ぼすことになる戦いに巻き込まれていく。

日本にまで仔太郎を追ってきたのは明国の王命を受けた者たちで、その中には青い目の羅狼という者までがいて、クライマックスではこの名うての剣の使い手と抜刀を封じていた(抜刀できないようにしている)名無しとの対決がある。

彼らが赤池ノ国の領主にどうやって取り入ったかは不明ながら、領主の庇護の元、大掛かりな装置(薬の抽出のためらしいが、大げさなだけでさ)をある時期に合わせて作りあげる(これまた薬に関係があるらしい)。もっとも、領主の方もただ明の人間たちにいいようにやられているような人間ではないから、最後には両者の熾烈な争いになる。

明からの武装集団は不老不死の仙薬を抽出しようとするだけあって、自分たちにも薬を使った強化をしている。ドーピングは拷問にも耐えられるすごいものなのだが、領主側もそんなことに少しもひるまない。

なにしろ戦いにからんだ人間(名無しと仔太郎の他)は、すべて死んでしまうことになるのだから凄まじい。姫を我が物にしたい若者を出してきて、普通なら美談めいた扱いにするところだが、若者は明の捕虜となった城主を自らすすんで殺してみせる。そしてこの若者も適当なところで画面から抹殺されてしまうのだ。

描写もPG-12ですんでいるのはアニメだからであって、このままそっくり実写にしたら目をそむけずにはいられないほどの残酷さなのである。

救いは名無しと仔太郎とが一緒に行動することになって、何とか生き延び、馬に乗りながら将来を語るところだ。この流れや名無しの過去の扱いなどは使い古されたものなのだが、全体が殺伐とした雰囲気にある中で、生きることの楽しさがうまく演出されていた。

  

2006年 102分 ビスタサイズ PG-12 配給:松竹

監督:安藤真裕 アニメーション制作:ボンズ プロデューサー:南雅彦 原作:BONES 脚本:高山文彦 撮影監督:宮原洋平 美術監督:森川篤 美術設計:竹内志保 音楽:佐藤直紀 音響監督:若林和弘 作画監督:伊藤嘉之 色彩設計:中山しほ子 人物設計:斎藤恒徳

声の出演:長瀬智也(名無し)、知念侑李(仔太郎)、竹中直人(祥庵)、山寺宏一(羅狼)、石塚運昇(領主)、宮野真守(戌重太郎)、坂本真綾(萩姫)、大塚明夫(虎杖将監)、筈見純(絶界)、野島裕史(風午)、伊井篤史(白鸞)

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