ダイ・ハード4.0

楽天地シネマズ錦糸町-4 ★★★☆

■ぼやきから悟りへ

悪党は最初から悪党。小賢しいドンデン返しなどないから、いたって明快。よけいなことは考えずに、次々と展開するアクション場面に身をまかせていればいいという方針は大いに評価できる。

ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は音信不通気味の娘ルーシー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)のことが気になってニュージャージー州の大学までやってくるのだが、女子大生のルーシーは、ボーイフレンドと一緒のところだった。ルーシーがそんなに心を許した相手ではなかったのだが、間の悪い訪問ということもあって、マクレーンは冷たくあしらわれてしまう。今回は奥さん(離婚したのね)は登場しないが、相変わらず家の方は問題が山積みのようだ。

そこへ本来は管轄外なのだが、マクレーン警部補がそこにいるならと、近くに住むハッカーのマット・ファレル(ジャスティン・ロング)をFBIまで連れていく護送任務を言いわたされてしまう。ワシントンDCのFBI本部に設置されたサイバー保安局のボウマン(クリフ・カーティス)が異変を感じたことで、ブラックリストに載っていたハッカーたちが一斉に捜査対象となったのだ。

マクレーンがファレルのところに乗り込むと、そこでいきなり銃撃戦となる。ファレルはシステムへの侵入をセキュリティチェックと言いくるめられて、テロリストたちに利用されていたが、用済みになったところで足が着くからと、抹殺される寸前だったというわけだ。

全米のインフラを監視するシステムを掌握した(単純ながら妙に現実味を帯びたアイディアだ)トーマス・ガブリエル(ティモシー・オリファント)とただの刑事の戦いなど、本来なら成立するはずもないのだが、そこはぬかりなく、ここから一気にアクション場面が連続する。ガブリエルがマットにこだわるのがちょっと不思議だったが、途中からはマクレーンもファレルの手を借りてガブリエルに対抗していくわけだから、これだって納得だ(邪魔をされたら手強いと思って先手を打ったという説明もアリだろう)。

トンネル内での車の正面衝突、宙に舞う車。ヘリコプターには消火栓(を破壊して水を吹き上げる)だけでなく、料金所を利用して車を空に飛ばして、ヘリにぶつけてしまうなんて荒技まで。トレーラーと最新鋭戦闘機のF-35の対決(『トゥルーライズ』にもジェット戦闘機が出てきてびっくりしたが、これはそれを凌駕している。94年作と比較しても仕方ないが)だって無茶なのに、さらには崩れていく高架道路から戦闘機の尾翼に飛び移ってしまう……。

この他にもエレベーター・シャフト内部という狭くて危ない(エレベーターが通り過ぎて行くからね)場所で、ガブリエルの恋人で右腕のマイ・リン(マギー・Q)とファイト・シーンを見せるなど見所満載。あり得ないと言い出したら何も残らなくなってしまうような場面ばかりが続く。

もっともこのサービスぶりは、さすがにいままでにあったマクレーンの人間味を薄めることになった。『ダイ・ハート』シリーズはこれが魅力だったのだが。

偶然の力も大いに借り、さらに満身創痍にはなっても、とにかく不死身。だけじゃなくて、今回は非情ですらある。敵を容赦なく殺してしまうのだから。例によって運が悪いとかぼやかせてみても、だいぶニュアンスが違ってくる。ファレルに語る英雄の定義も「撃たれるだけ」で家族にはかえりみられないとぼやいていたはずが、誰もやらないから俺がやるだけと、いつしか悟りの境地に近いものになっているのである。

マクレーンの悟りなど聞きたくはないが、ファレルとの凸凹(デジアナ)コンビの会話はアクション場面の繋ぎとしてはいい感じだ。傍観していただけのファレルが成長して(未来のルーシーの旦那か?)いくというのも観客にはわかりやすい。

ガブリエルはFBIにいたのだが、セキュリティに関する提言が受け入られないことで逆恨みの犯行に走ったという設定(もっとも最終的には金狙いなんだが)。歴代の大統領の繋ぎ合わせ画像でテロ宣言を出したり、偽映像でホワイトハウスを爆破させるのも朝飯前(部下にやらせてたけどね)だから、マクレーンなど「デジタル時代のハト時計野郎」で、実際その分部ではマクレーンは手も足も出ない。それをファレルがうまくカバーしてくれるというわけだ。

ただファレルがPCや携帯を魔法のように扱ってしまうのは、これも見所ではあるが、誤魔化されているような気にもなる(いや実際誤魔化されてるんだけどさ)。PCオタクの手にかかったら何でも可というんじゃね。それに私の母のようなデジタル時代という言葉すら理解できない人間には、すべてがちんぷんかんぷんだろうか(観客という対象に入ってないか)。

すべての情報を手にしたガブリエルが、ルーシーに手を伸ばすのはこれまた簡単なことだから、『ダイ・ハート』にある家族愛のテーマは継承されている。マクレーンの姓を嫌い「話がある時は私から電話する」といっていたルーシーが、ちゃんとマクレーンに期待しているだけでなく、敵は5人(だったかな?)と言ってマクレーンに情報を伝える、ニヤリとしてしまう場面もある。

ま、所詮アクション娯楽作ですからね。あ、でも「ハリケーンの防災対策にもたついた」とか言ってたっけ。『アンダーワールド』好きな私としては、レン・ワイズマンということで、点が甘くなったかも。

【メモ】

おなじみの20世紀フォックスのマークがぶれて黒い画面になる。

  

原題:Live Free or Die Hard

2007年 129分 シネスコサイズ アメリカ 日本字幕:戸田奈津子 配給:20世紀フォックス映画

監督:レン・ワイズマン 製作総指揮:マイケル・フォトレル、ウィリアム・ウィッシャー 原案:マーク・ボンバック、デヴィッド・マルコーニ 脚本:マーク・ボンバック 撮影:サイモン・ダガン プロダクションデザイン:パトリック・タトポロス 衣装デザイン:デニス・ウィンゲイト 編集:ニコラス・デ・トス 音楽:マルコ・ベルトラミ
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出演:ブルース・ウィリス(ジョン・マクレーン)、ジャスティン・ロング(マット・ファレル)、ティモシー・オリファント(トーマス・ガブリエル)、クリフ・カーティス(ボウマン)、マギー・Q(マイ・リン)、シリル・ラファエリ(ランド)、メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ルーシー・マクレーン)、ケヴィン・スミス(ワーロック/ファレルのハッカー仲間)、ジョナサン・サドウスキー

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