12

GyaO ★★★

■ゲームの世界で生きていたティ!?

『レベル・サーティーン』の公開に合わせて、その前作にあたるというこの『12』も、パソコンテレビGyaOで配信されていたらしい。が、私が知ったのは昨日のことで、でも34分の短篇だというので、そのまますぐ観てしまったのだった(ずっと行っていなかったせいか、GyaOではまた登録するようにいわれた)。

34分の短篇ながら、キー様(ちゃんと同一人物が演じているみたい。ま、こっちでも回想場面とDVDに残っている映像だけで、ほとんど顔は見せないのだが)誕生秘話という側面も少しだけあって、なかなか興味深いものに仕上がっている。

半年前に学校から消えたキーと、今朝チャットをしてきたというチャイタワット(彼は直接はキーのことを知らない)の話を聞いたティは、バエとミクの4人でキーの家を訪ねるが、母親はキーは半年前に死んだと言う。

その晩、単なる懐かしさからか、それとも気になることでもあったのか、家でPCをしていて、課外授業の映像が入っているDVDを見始める。するとその時、キーがティのPCにアクセスしてくる。

ティが課外授業の映像を見ていることをPCの向こうにいるキーが知っているのは、すでに『レベル・サーティーン』と同等の世界を作ってしまったということなのか(ティはまわりを見渡すが、もちろん自宅に監視カメラらしいものは見あたらない)。ただ、このあと父親にPCの電源を切られてしまうことまで予言してしまうあたりの不気味さは、『レベル・サーティーン』以上だろうか(予言でないとすると父親もからんでいてのことで、それだとさらに恐ろしい話になる)。

キーはゲームにはまって、理想の空想世界の話ばかりをしていたという。そこでの彼は時間すら自由にできる全能の支配者で、そこを13と名付けていたようだ。彼が選んだ人間しか住めないその世界は、非常に遠くにあって常人は来れない(これはキーによる説明)のだが、彼は一緒に行こうと友達を誘っていたのだ。

このあとティにケータイがかかってきたところで、上から窓枠が落ちてくる事故があるのだが、これがキーの仕業なのかどうかははっきりしない(ケータイの声も違うようにも聞こえるし、そのことについてはごまかしていた)。

生物の授業中にバエが、今夜ハッキングしてキーに連絡をとろうと言い出す。するとティのケータイにキーから「僕を追跡したらバエにつきまとう」と、脅かしともとれる連絡が入る(授業中のケータイは当然教師の怒りを買うことになるが、これはミクがティの身代わりになってくれる)。

この晩、ティはまたキーとチャットをするのだが、ティのPCにバエが割り込んできて、キーのIPアドレスから場所を特定したと報告が入る。そして、それは学校だという。が、そこに昨日と同じようにいつまでもPCをやめないことを怒った父親がやってきて、ティはPCをやめざるをえなくなる。

翌日学校へ行くとバエが来ていない。そのうち学校へ警察とバエの両親がやってくる(ティの父親は警官だったのだな)。バエの行方がわからないらしい。

そしてその夜、ミクから誘われたティは彼と一緒に学校へ乗り込んで行く……。

『レベル・サーティーン』の最後にある際立ったアイディアこそないが、ゲームとして進行して行く構成にはなっていないので、もちろん単純に比較などできないのだが、こちらの方が怖い。少なくともティは自分からゲームに参加したわけではないのだ。ティの父親が絡んでいるのなら別だが、そうでないとするとオカルト色も強い。でありながら、こちらの方がまだ入りやすいのは、『レベル・サーティーン』のように引いてしまいたくなる要素がうまく隠されているからだ。

生物学教師によるキーに対する性的いたずらという事件(学校で見たPCには課外授業映像の続編があった)もうまく織り込んで、しかしここではミクがキーによってゲームに参加させられていて、ティは焼却炉でバエの二の舞になる(焼却炉の中でティが見つけるバエの持ち物がよくわからなかった)という結末となる。

『レベル・サーティーン』を観てしまっているので、結末自体の衝撃度はそう高くないのだが、ミクがこれでレベル12を終えたとなると、その先の13には何が待っているのかはやはり知りたくなる。ミクに13の課題をすぐに与えるというキーのセリフがあって、TO BE CONTINUEDという文字があらわれる。で、それが『レベル・サーティーン』ということになるのだろうが、この映画の続きも観たいではないか。

ミクがゲームをしていたとなると、それはいつからで、どんなことをしてきたのか。考え出すときりがなくなってくる。

ティの父の関与もだけど、もしかしたら教師だってゲームをやっていた可能性がありだからだ。とはいえこれは「先生はバエとティが脅迫メールを送ったので彼らを殺しに来たが、自分の行動に反省し自殺した」と、完璧な筋書きができたとことをキーが喜んでいたから違いそうだ。でもこれだって、全部キーの演出とこじつけることはできるだろう。

原題:12

2006年 33分48秒 ビスタサイズ タイ

監督:マシュー・チューキアット・サックヴィーラクル

出演:(資料がないので、役名のみ書いておく)ティ、ミク、バエ、チャイタワット、キー、ティーの父/警察官、サク先生

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