機械じかけの小児病棟

シネマスクエアとうきゅう ★★☆

■意外と凝ったホラーだが

老朽化のため閉鎖間近のイギリス、ワイト島にあるマーシー・フォールズ小児病院に、看護婦の欠員があってエイミー(キャリスタ・フロックハート)が派遣されてくる。そこは忌まわしい過去が封印された病院だった……。

同僚の看護婦ヘレン(エレナ・アナヤ)や看護婦長フォルダー(ジェマ・ジョーンズ)を微妙なところ(敵か味方か)に置いて、エイミーの活躍にロバート医師(リチャード・ロクスバーグ)の協力で、昔の惨劇が明かされていく。なんでもフォルダーがこの病院に来たばかりの頃、看護婦が女の子を骨折させていた事件があったというのだ(もっともこれがわかるのは最後の方)。入院患者の子供たちが2階(ある事件で閉鎖されていた)の物音に怯え、その中で霊感の強いマギーという子が、全身に金属の矯正器具を付けたシャーロットという女の霊が出ていると言っていたのは本当だったのだ。

最初に病院から搬送されようとしたサイモンという男の子の骨折シーンは、その霊の仕業だったというわけか。でも何故。それにあれはいかにもレントゲンを撮ることで骨折が引き起こされたような映像だったが? 医師自身が骨折箇所が増えていることに疑問を呈しているのだが、説明がヘタでなんともまぎらわしい。

前任の看護婦スーザンの死については、彼女が相談していたという霊媒者姉妹をエイミーに訪問させて、「死期が近づいている者にのみ霊が見え」「彼ら(霊)は愛するもののそばにいようとする」と解説させる。そして、これがちゃんとした伏線になっていたのだけど、なんとなく霊媒者まで出してきたことで、うさんくさくなって、ちょっと馬鹿にしてしまっていたのね。

エイミーとロバートが必死になって事件のカルテを見つけようとするあたりからは急展開。シャーロットが実は看護婦で、マンディ・フィリップスというのが患者である少女の名前だったことが判明する。シャーロットはマンディを虐待し、退院させたくないために彼女の骨を折っては退院を延期させていたというのだ。うわわわ、サイモンの骨折もこれだったのだ。事件が明るみにでて有罪となった彼女はマンディを殺害し(可能?)、自分に矯正器具を付け(これがわからん)自殺し、幽霊となって出ていたのだと。

よくできた話とは思うが、全体の見せ方があまりうまいとはいえない。矯正器具を付けた幽霊が、それこそ矯正器具で固定されているようで全然怖くないし、途中で映画を幽霊ものと思ってしまって興味を半減してしまったということもある。ま、これは私が悪いのだけれど。ここまで脚本に凝っているとは思わなかったのね。最後になって急に盛り上がられてもなーという感じ。ロバート医師も中途半端だったかなぁ。

【メモ】

閉鎖が決まった病院は、入院患者や医療機器の移送がはじまっていたのだが移送の最終日に大規模な鉄道事故が発生する。患者たちを移す予定だった近隣の病院は負傷者があふれ、病院の閉鎖はしばらく延期されることになる。

エイミーも2階の物音や異変に気付き、エレベーターに閉じ込められたりもする。

エイミーはスーザンの自宅を訪ねるが、彼女はその前日に運転する車がスリップ事故を起こして死亡していた。

続いて、病院の従業員ロイの不審死(窓に飛び込む)。

エイミーにも自分のミスで患者を死なせているという過去がある。

死期が迫っていたスーザン、マギーには霊の姿が見える。そして、エイミーにも……。

原題:Fragile

2005年 102分 シネマスコープ スペイン 日本語字幕:関美冬

監督:ジャウマ・バラゲロ 脚本:ジャウマ・バラゲロ、ホルディ・ガルセラン 撮影:シャビ・ヒメネス 音楽:ロケ・バニョス

出演:キャリスタ・フロックハート(エイミー)、リチャード・ロクスバーグ(ロバート)、エレナ・アナヤ(ヘレン)、ジェマ・ジョーンズ(フォルダー)、ヤスミン・マーフィ(マギー)、コリン・マクファーレン 、マイケル・ペニングトン

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