氷の微笑2

楽天地シネマズ錦糸町-2 ★★☆

■きっと手玉に取られそう

『氷の微笑』の続編だが、すでにあれから14年もたつという。あのキャサリン・トラメル(シャロン・ストーン)が、前作と似たようなことを繰り広げるのだが、彼女が「危険中毒」というなら、14年間もおとなしくしていられたとはとても思えない。

舞台をアメリカからイギリスに移したのは、そこらへんを考慮してのことか。もっとも人気犯罪小説家なのだからアメリカもイギリスも関係なさそうだが。ただシャロン・ストーンが14年も続編を我慢できたのだから、それは可能か。失礼とは思うが、キャサリンのイメージをシャロンに置き換えるのはそう難しくないのだな(失礼どころか褒め言葉だよね)。

シャロンの自信はたいしたものだが、それができるのだから脱帽だ。観客は実年齢を知っているのだし。もっとも最初の車の疾走場面から、あんなにフェロモンをばらまかれたのでは、かえって引いてしまう。快楽優先主義者という設定なのだからこの演出は仕方がないのかもしれないが、観客サービスになっていない気がして心配になる。

思わせぶりな映画といってしまえばそれまでだが、話は十分楽しめる。ただし、今回の相手はマイケル・ダグラスに比べるといささか頼りない。デヴィッド・モリッシー演じるマイケル・グラス(何なのだ、この役名は!)は、犯罪心理学者で精神科医。ロイ・ウォッシュバーン刑事(デヴィッド・シューリス)からキャサリンの精神鑑定を依頼され、はじめのうちこそ自信満々でいたが、途中からはキャサリンに翻弄されっぱなしで、ただただひたすら転落していく。

犯人がキャサリンかウォッシュバーン刑事か、などと迷いだしているうちはともかく、いつのまにか昇進(というのとはちょっと違うのだろうか)話は立ち消え、最後には思いもよらぬ場所にいるマイケル・グラス。

キャサリンみたいのに捕まったら、きっと私もこうだろうなと思ってしまったものね。おー、こわ。

原題:Basic Instinct 2

2006年 118分 シネマスコープ アメリカ R-18 日本語字幕:小寺陽子

監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ 脚本:レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビーン 撮影:ギュラ・パドス プロダクションデザイン:ノーマン・ガーウッド 衣装デザイン:ベアトリス・アルナ・パッツアー 音楽:ジョン・マーフィ テーマ曲:ジェリー・ゴールドスミス
 
出演:シャロン・ストーン(キャサリン・トラメル)、デヴィッド・モリッシー(マイケル・グラス)、シャーロット・ランプリング(ミレーナ・ガードッシュ)、デヴィッド・シューリス(ロイ・ウォッシュバーン刑事)、ヒュー・ダンシー(アダム)、インディラ・ヴァルマ(デニース)