ウィッチマウンテン 地図から消された山

2009年7月12日 日曜日

新宿武蔵野館3 ★★

■信じているのはオヤジだが、実は子供向き映画

『星の国から来た仲間』(1975)のリメイク(注1)だが、それは今調べてわかったことで、情報をほとんど仕入れずに映画を観ているため、ディズニーのマークが出てきて、あれ、もしかして子供が主役?となって、はじめて子供向け映画だったことを知る。けど、それにしちゃ、そんな売り方をしてたっけな? 観客だって大人ばかりだし……なのだった。

タクシー運転手のジャック・ブルーノ(彼が主役かなぁ)は、乗せたつもりのない(気がついたら乗っていた)兄妹に、お金は払うからと荒野のど真ん中(の廃屋)まで連れて行ってくれるよう頼まれる。実は、というかすぐ正体は明かされてしまうのだが、セスとサラは宇宙人なのだった。

セスは分子密度を変えて物体をすり抜けられるし、逆に車にぶつかってその車を粉々にしてしまう。サラは念力で、ジャックの代わりに車を操ったりもするし、一番近くの人間の心が読め、動物とも話ができるのだ。もっともこれらは禁じ手に近いから、最初からこんなのを見せられるとげんなりで、宇宙人であることの証明はもっと違うことでしてくれりゃいいのに、と思ってしまう。

話の方もいきなりカーチェイスになるなど、テンポを優先しているから展開は大雑把。三人を追うのが、政府の特殊機関に宇宙人の暗殺者、そしてマフィアまで出てきてだからややこしい。UFOや宇宙人の存在を知られたくない政府は、とにかくセスとサラを確保しようとするし、暗殺者はセスとサラを追って地球にやって来て二人の行動を邪魔しようとする。マフィアの妨害はおまけみたいなものだが(ジャックはその世界から足を洗って運ちゃんになってたのね)、じゃまくさいことにはかわりがない。

追跡者は入り乱れているが、話はわかりやすい(単純というべきか。言葉で説明しただけのものだし)。高度な文明をもつセスとサラの星(地球とは三千光年離れているがワームホールを利用してやってきたという)だが、ひどい大気汚染で死にかけていた。地球の気候に目をつけ科学的な再生をはかろうとしているのたが、軍がてっとりばやい侵略を主張していて(文明は高度でも似たような問題をかかえているわけだ)、セスとサラが実験結果を持ち帰らないととんでもないことになってしまう、のだと。

何の実験なのか(汚染撤去のヒントなんだろうが? 最初に行った廃屋の秘密の地下に巨大な植物が育っていたから、実験は成功したってことなのか?)、何故子供のセスとサラ(見た目じゃわからないが、両親が、と言っていた)を寄越したのかは聞き漏らしてしまったのだけど(言ってた?)。

話としてはそれだけなんだが、派手なアクション場面はいくつも散りばめてあるし、円盤や基地なども丁寧に作られているからSFファンなら楽しめる。

が、やはり展開は単純すぎだろう。UFOの存在を主張しても信じてもらえないフリードマン博士(注2)などを話に強引に巻き込んではいるが、原題通り一直線に宇宙船の隠し場所であるウィッチマウンテンをめざしちゃうんだもの。

それにしても、これはやはり子供向け映画として宣伝すべきではないか。アクション映画の要素は多いが暴力に繋がるイメージはなく、だから死体がゴロゴロということもない。そこらへんの配慮はディズニーなんで行き届いているから、夏休み映画にはぴったりなのにねぇ。でも今時の子供はこの程度の話じゃ納得しないのかもね(私が小学生なら大喜びしてたはずだ)。

子供映画としての配慮があると書いたが、ロボットのような敵の暗殺者がヘルメットを取った時には、おぞましい頭部が見えてぞっとした。一瞬だからよかったものの……ってことは、セスもサラも同じような形状なんだよね(ええっ!?)。それとか、セスとサラが捕まったら解剖される、なんていうけっこう気味の悪い発言もあった。もちろん子供映画だからって、綺麗事だけで作れるなどとは思っちゃいないが。

考えてみるとジャックなんて、基本的には最初から二人を信じて行動していたからねぇ。どちらかというとセスの方が、人間を信じていいのかどうか再三迷っていたけれど、これはセスの方が正しいだろう。人間の少年少女に化けたのも正解。お人好しのジャックでも化け物だったら信じなかったろうから。

注1:オフィシャル・サイトにいくと、オリジナル版で兄妹を演じたアイク・アイゼンマンとキム・リチャーズとに、保安官とウェイトレスの役をあてたらしい(英語なんで違ってたらごめん)。これが日本語のサイトにないのは(ざっと見ただけだが)、二人が日本では知名度がないからなんだろうけど、でも教えて欲しいよね(プログラムには書いてあるのかも)。昔の映画の方が兄妹が幼いのは、実年齢にあった層を狙ってのことで、当時はこういう作りの映画が今よりずっと多かったと記憶する。

注2:ラスベガスのSFオタクの集まりで自説を熱く語るのだけど、オタクたち、というよりUFOを見たとか乗ったとか言ってるだけの人たちは、博士の話などロクに聞いちゃいなくて、結局、UFO隠しにやっきになっている政府もいけないが、UFOがいると言っている人たちもほとんどがインチキなのだと、フォローしてたような。

原題:Race to Witch Mountain

2009年 98分 シネスコサイズ 配給:ディズニー 日本語字幕:林完治

監督:アンディ・フィックマン 製作:アンドリュー・ガン 製作総指揮:マリオ・イスコヴィッチ、アン・マリー・サンダーリン 原作:アレグサンダー・ケイ 原案:マット・ロペス 脚本:マット・ロペス、マーク・ボンバック 撮影:グレッグ・ガーディナー プロダクションデザイン:デヴィッド・J・ボンバ 衣装デザイン:ジュヌヴィエーヴ・ティレル 編集:デヴィッド・レニー 音楽:トレヴァー・ラビン 音楽監修:リサ・ブラウン

出演: ドウェイン・ジョンソン(ジャック・ブルーノ)、アンナソフィア・ロブ(サラ)、アレクサンダー・ルドウィグ(セス)、カーラ・グギーノ(アレックス・フリードマン博士)、キアラン・ハインズ(ヘンリー・パーク)、トム・エヴェレット・スコット(マシスン)、クリストファー・マークエット(ポープ)、ゲイリー・マーシャル(ドナルド・ハーラン博士)、ビリー・ブラウン、キム・リチャーズ、アイク・アイゼンマン、トム・ウッドラフ・Jr

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