ザ・スピリット

2009年6月7日 日曜日

新宿ミラノ2 ★★

■見所は不死身同士のなまくら殴り合い!?

予告篇はものすごく艶っぽく、そして謎めいても見えたのだが、それは表面的なもので、骨のない無残な作品だった。

で、私といえば、こういうヒーローものが五万とあるから『ウオッチメン』のような作品が出て来るのか、と途中からまったく違うことを考えながら、気もそぞろで観ていたのだった。

モノトーンに赤を効果的に配した映像は確かにアメコミ風な感覚に繋がるものがあるが、中身がなくてはそれまでだろう。それにこれは『シン・シティ』(2005)ですでに観ているものだし。って、別に新しい作風にしろと言っているんじゃないんだけどね。

セントラル・シティを恋人と言ってはばからないスピリットは、今日も宿敵オクトパスと戦いを続けていた。街を恋人と言うのは、モノローグでのことなのだけど、けど、しつこいくらいにスピリットはこれを繰り返すんだよね。「この街のおかげで生きられる。必要な物は何でも与えてくれる」ってなにさ。意味不明だってば。ただそう言われただけじゃ。

これはあとでわかることなのだが、この二人はある実験の結果、不死身になってしまったようなのだ。といっても一応傷は負って、スピリットの場合は外科医で恋人らしきエレンに手当をしてもらうのだけど、スピリットがオクトパスと戦うのは手当をして欲しいのかとも、ってまたヘンなこと考えちゃてたんだよね。

オクトパスもそのことを楽しんでいるかのように(その秘密を知っていたからか)、二人は文字通り最初の対決場面で、沈没した古い貨物船から引き上げた物をめぐって文字通りの泥仕合を繰り広げるのだが、これがなんとも白ける殴り合いなのだ。不死身同士の殴り合いを見せられてもなぁ。

まあ、これはまだ最初だからいいのだけど、最後など、スピリットは防弾チョッキを着込んでた、ってあんまりな。不死身同士のライバルだって(それに二人は双子のようなものなのだから)見せ方によってはいくらでも面白くなるのではないかと思うのだが、これがまったくつまらない。

ここにもうひとり絡んでくるのが、上昇志向が強くキラキラしたものが好きなサンド・サレフという宝石泥棒で、手に入れたいものがあって汚れたこの街に戻ったという彼女は、なんとスピリットの幼なじみで初恋の相手だった。

これは昔の映像で語られるから現在にもそれなりの影を落としているってことなんだろうけど、そこらへんがまったくといっていいほど見えてこないのだ。最後にスピリットとサンドのキスシーンもあるのだが、それ以上にはならない。スピリットの「昔の恋人だ」というこの割り切りがどうにもわからないのだ。

オクトパスの部下のクロ-ン君たちなど、なかなか面白いキャラも出てくるのだが、本筋でずっこけているからちっとも楽しめない。

オクトパスの助手のスカーレット・ヨハンソン(あら、彼女だけ本名で書いちゃった)もいいところなし。というか、コスプレショーができればいいや、くらいの気持ちだったのか(オクトパスもナチス親衛隊のコスプレに嬉々としていたから、この二人はコスプレ繋がりなのか?)。最後に、バラバラになったオクトパスの指(まだ生きてるのだ)を拾って消えてしまったから、見せ場は次回作のお楽しみなのかしら。え、次回作!? どうしよう。

原題:The Sprit

2008年 103分 アメリカ シネスコサイズ 配給:ワーナー・ブラザース映画 日本語字幕:林完治

監督・脚本:フランク・ミラー 製作:デボラ・デル・プレト、ジジ・プリッツカー、マイケル・E・ウスラン 製作総指揮:ベンジャミン・メルニカー、スティーヴン・マイヤー、ウィリアム・リシャック、マイケル・パセオネック、マイケル・バーンズ 原作:ウィル・アイズナー 撮影:ビル・ポープ 視覚効果スーパーバイザー:スチュー・マシュウィッツアートディレクション:ロザリオ・プロベンサ 衣装デザイン:マイケル・デニソン 編集:グレゴリー・ナスバウム 音楽:デヴィッド・ニューマン

出演:ガブリエル・マクト(スピリット、コルト刑事)、サミュエル・L・ジャクソン(オクトパス)、エヴァ・メンデス(サンド・サレフ)、スカーレット・ヨハンソン(シルケン・フロス)、ジェイミー・キング(ローレライ)、サラ・ポールソン(エレン)、ダン・ローリア(ドーラン)、パス・ベガ(プラスター・オブ・ハリス)、ルイス・ロンバルディ(フォボス)、スタナ・カティック(モーゲンスターン)、フランク・ミラー、エリック・バルフォー、ダニエル・ハバート、ジョニー・シモンズ、セイチェル・ガブリエル、マイケル・ミルホーン

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