転々

2007年12月1日 土曜日

テアトル新宿 ★★★☆

■疑似家族に涙する大学8年生

サラ金の取り立てを稼業としている福原愛一郎(三浦友和)は、はずみで殴った妻が死んでしまい、吉祥寺(調布?の飛行場も映っていたが)からわざわざ桜田門まで、しかも歩いて自首するのだという。それに付き合えば100万円がもらえるからと、話に乗ってしまったのが取り立てを食らって福原の靴下を口に詰め込まれてしまった竹村文哉(オダギリジョー)で、2人で東京を「転々」としながら何となく目的地へ向かうという奇妙な旅?がはじまる。

大学8年生で、借金苦のどん底生活とナレーションも担当している文哉が、淡々と自分を説明するのだが、そりゃ十分悲惨だと思う。

片や、年上だし口調も偉そうな福原だけど、妻(宮田早苗)との関係では、こちらも言い尽くしがたい闇を抱えていたようである。夜、2人でバス散歩と洒落てみるが、声もかけずに自分だけ下車してしまう妻に、残された福原は茫然とするばかりで、この回想映像に深い意味はなさそうだが、闇の深さは十分わかる。

もっともそんな福原ながら、ある事情で仮の夫婦となった麻紀子(小泉今日子)と、まんざらではない間柄にあるのだから、いい加減なものなのだ。

さらに麻紀子の姉の子のふふみ(吉高由里子)が加わって、そして文哉も成り行きとはいえ福原と麻紀子の息子役をけっこう嬉々として演じ、1組の家族らしきものが出来上がることになる。

親に捨てられた文哉にとっては、疑似家族といえども涙の出てきてしまう存在で、福原が自首することをおしとどめたくなっている自分に気付くのだが、そんな文哉を残して福原は桜田門に向かっていく。

しかしそれにしても疑似家族に涙するような結末で締めくくらなければならないのが現代のある形であるのなら、なんとも痛々しい地点に我々はいるのだろう(でもまあ、そうなのかもね)。

三木ワールドで味付けした東京散歩は、随所に隠し味があって楽しめるが、少々地理的な不都合を感じなくもなかった(転々なのだから、これでいいのかもしれないが)。

 

2007年 101分 ビスタサイズ 配給:スタイルジャム

監督:三木聡 製作:辻畑秀生、宮崎恭一、大村正一郎 プロデューサー:代情明彦、下橋伸明 エグゼクティブプロデューサー:甲斐真樹、國實瑞惠 企画:林哲次、菊池美由貴 原作:藤田宜永『転々』 脚本:三木聡 撮影:谷川創平 美術:磯見俊裕 編集:高橋信之 音楽:坂口修 エンディングテーマ:ムーンライダーズ『髭と口紅とバルコニー』 コスチュームデザイン:勝俣淳子 照明:金子康博 録音:瀬谷満 助監督:高野敏幸

出演:オダギリジョー(竹村文哉)、三浦友和(福原愛一郎)、小泉今日子(麻紀子)、吉高由里子(ふふみ)、岩松了(国松)、ふせえり(仙台)、松重豊(友部)、広田レオナ(鏑木)、津村鷹志(時計屋の主人)、宮田早苗(福原の妻)、石井苗子(多賀子)、横山あきお(石膏仮面)、平岩紙(尚美)、ブラボー小松(ギターマン)、末広ゆい(募金を呼びかける女子高生)、渡辺かな子(募金を呼びかける女子高生)、並木幹雄(助監督)、明日香まゆ美(植物園のおばさん)、福島一樹(少年文哉)、村崎真彩(少女尚美)、麻生久美子(三日月しずか)、笹野高史(畳屋のオヤジ)、鷲尾真知子(愛玉子店のおばさん)、石原良純(愛玉子店の息子)、才藤了介(駅員)、風見章子(お婆さん)、岸部一徳(岸部一徳)

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