ナイト ミュージアム

2007年4月28日 土曜日

シネセゾン渋谷 ★★☆

■オモチャのチャチャチャin博物館

ラリー・デリー(ベン・スティラー)は、離婚したエリカ(キム・レイヴァー)との間にもうけた10歳になるニッキー(ジェイク・チェリー)という息子がいる。エリカの再婚話はともかく、その相手(株のトレーダーなのな)にニッキーがなついているらしく、いや、そんなことより転職ばかりで現在も失業中の自分にあきれられてしまって、さすがに危機感をつのらせる。とにかく新しい仕事を探すしかないと職業訓練所を訪れた彼は、自然史博物館の警備の仕事に就くことになる……。

設定は違うものの『ジュマンジ』『ザスーラ』と似た作品。ゲームが博物館になっただけで、夜になると動き出す博物館の展示物が朝には戻っているというある種のお約束の上に成立しているのも、家族の絆を取り戻すというテーマが潜んでいるのも、まったく同じだ。

子供向け映画という方針がはっきりしているから、いきなり恐ろしいテラノサウルス(骨格標本なんだけどね)に襲われるもののそれは勘違いで、相手はまったく犬レベル。骨を投げて遊んでほしかっただけだったりする。

そもそもラリーと入れ替わりに退職するというセシル(ディック・ヴァン・ダイク)、ガス(ミッキー・ルーニー)、レジナルド(ビル・コッブス)の先輩老警備員たちから渡されたマニュアルを、いたずら好きのサルに鍵束と一緒に持ち去られたというのがのがいけなかったのだが……。

博物館だから展示物が所狭しと置いてあるわけで、つまり限られた空間に限られた人物で少し先は他の展示物の領域だったりするから、動きだしてもお互いに適当に調和をとっていたり我関せずというのがおっかしい。もっとも西部開拓史とローマ帝国のジオラマでは双方ともが領土の拡大をはかっていて、大乱闘になったりもする。このミニチュアのアイディアでは、ラリーがガリバーのように小人たちに磔にされ、鉄道に轢かれたり、ローマ軍の矢を沢山浴びせられてしまったするのが、なかなか愉快だ。

もちろんこれだけでは映画としては芸がないので、3人の先輩老警備員たちがアクメンラーの石板を持ち出そうとするのを、全員で阻止するというクライマックスが用意されている。この石板がなくなると、これによって毎晩息を吹き込まれていた展示物の、唯一の楽しみが奪われてしまうのだ。

ここで1番活躍するのがルーズベルト大統領(ロビン・ウィリアムズ)だろうと思っていると、彼は硝子の中に展示されているアメリカ先住民のサカジャウィア(ミズオ・ペック)に片想いをしていたという役回り。「私もただの蝋人形でルーズベルトじゃない。女に告白もできん」と言うのだ(蝋人形でよかったよ、というような傷を負う)。え、何。それにしちゃ他の展示物はかなり役に成りきっているんじゃないか。いや、でもこれが正しい解釈なんだろうけどねぇ(考え出すと複雑なことになりそうだから、やめておこう)。

ミニチュア(ジオラマ)のカーボーイとオクタヴィウスの大活躍もあって石板は無事戻ってくるし、ラリーは学芸員レベッカ(カーラ・グギーノ)の論文の手助けや、もちろんニッキーにもいいところを見せられて(ニッキーとその友達が見ている前でクビを言いわたされたラリーは汚名返上とニッキーを博物館に連れてきていた)、しかも博物館外での石板争奪戦の痕跡が博物館の宣伝にもなってラリーにはお咎めがないばかりか……と予定通りの結末を迎える。

老警備員たちもラリーの温情で床掃除だけの罰と、まあ、すべてが善意による大団円なのは、どこまでも健全な子供映画ってことなのだろう。

余談だが、アメリカ自然博物館だけあって日本人には馴染みの薄い人物が出てくる。サカジャウィアもだが、彼女を通訳として西部開拓史時代にアメリカを探検したメリウェザー・ルイスとウィリアム・クラーク。しかし調べてみるとサカジャウィアは人妻ではないの(http://sitting.hp.infoseek.co.jp/sakaja.htm)。ルーズベルト、まずいよ、それは。あ、だから違う人格の蝋人形って言ってたんだっけ。

  

【メモ】

ラリーに仕事を斡旋する職業紹介員を演じるアン・メアラはベン・スティラーの実母。

原題:Night at the Museum

2006年 108分 ビスタサイズ アメリカ 日本語字幕:戸田奈津子

監督:ショーン・レヴィ 製作:ショーン・レヴィ、クリス・コロンバス、マイケル・バーナサン 製作総指揮:マーク・A・ラドクリフ 原作:ミラン・トレンク 原案・脚本:ロバート・ベン・ガラント、トーマス・レノン 撮影:ギレルモ・ナヴァロ プロダクションデザイン:クロード・パレ 衣装デザイン:レネー・エイプリル 編集:ドン・ジマーマン 音楽:アラン・シルヴェストリ
 
出演:ベン・スティラー(ラリー・デリー)、カーラ・グギーノ(レベッカ)、ディック・ヴァン・ダイク(セシル)、ミッキー・ルーニー(ガス)、ビル・コッブス(レジナルド)、ジェイク・チェリー(ニック・デリー)、ロビン・ウィリアムズ(セオドア・ルーズベルト)、ミズオ・ペック(サカジャウィア)、ラミ・マレック(アクメンラ)、リッキー・ジャーヴェイス(マクフィー博士)、アン・メアラ(デビー)、キム・レイヴァー(エリカ・デリー)、スティーヴ・クーガン、ポール・ラッド、オーウェン・ウィルソン(クレジットなし)

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