2時半頃に結石の痛みで目が覚める。最初に痛んだ時(8月)と同じような気分の悪さが襲ってきて、思わず鎮痛剤に手を伸ばしていた。結石らしい痛みは断続的に出ていたし、先々週あたりから頻発していたのだが、鎮痛剤の世話になったのはこれで2度目。
眠れなくなって本を読み始めるが、集中できずに何度も同じところを読んでいた。痛みもだが、トイレに行ってもほとんど尿が出なかったことが気になっていた(トロの結石の時のことを思い出して)。でも、いつの間にか物語の中に入っていたから痛みの方は治まってしまったようだ。
途中だった玉岡かおるの『黒真珠』(新潮社)を読んでしまう。書名は『黒真珠』だが、7つある短篇の最初は『ブラック・パール』となっている。カタカナ表記だけど、これが表題作。じゃなくて単行本にするときに変えたのか(でも、私は他の作品の方が楽しめたのだな)。短篇は他もカタカナ題名が多くて、中黒も含めるとカタカナ文字率は87.3%である。って、だから?
午前中は掃除に名刺印刷。なんでこんな時に仕事をするかねー。寝不足もあって、だらだら、と。
3時すぎに自転車で出かける。観劇のチケット交換で早めに行くつもりだったが、結石のことを心配して家人が代わってくれた。1件配達してから新橋演舞場へ(席は1階の12列15番)。芳ちゃんに和子さん、それと妹に家人(母は調子が悪く留守番)。
『ヤマトタケル』(脚本・演出:市川猿之助)は市川段治郎のもの。ダブルキャストで、一方の市川右近はタケヒコ役。右近ヤマトタケルを観ずに言うのもなんだが、この配役がいいんじゃないか。歌舞伎のことはよくわからないが、篠田正浩の映画『写楽』にも見られた、歌舞伎に本来あったはずの楽しさが詰まっていた。
最後の有名な1番の見せ場、白い鳥になってヤマトタケルが天翔る宙づり場面にも感激してしまう。ココ、多分映画にしてしまったら、いくらCGなどを駆使してうまく見せたにしても、かなり白けたものになってしまうのではないか。演劇のつくりものを前提としたいい面がこの場面に凝縮されていたように思う。
結石なのに自転車で出かけてあきれられたが、それまであった違和感も観劇中にはなくなって、夜はもうまったく普通に戻っていた。 |