雨。新宿に行き、映画3本。
まず新宿武蔵野館1で『間宮兄弟』。
子供がそのまま大人になった感じで、紙飛行機やグリコジャンケンで遊び、テレビやDVDを観、寝る前はその日の反省会する間宮兄弟。2人はこんなにも仲が良くって、30代になっても同居、そう2人暮らしを続けているんだと。ふうむ。
それはいいにしても、でもだからって寝る時まで一緒というのはねー。私にはこの兄弟(兄明信:佐々木蔵之介、弟徹信:ドランクドラゴンの塚地武雅)は理解不能。人格や考え方がではなく、そこまで行動を共にするということが。
でもまあ映画としてなら面白い。2人がオタク(マニア兄弟。長く独身でいたら多少はそうなるよね)なので、彼らの蘊蓄ゲームをきいているだけでも楽しいということもあるのだが、生活のほとんどすべてを覗き見させてくれたら面白いにきまっているもの。
しかも、兄はビール会社の研究員で弟が小学校校務員というのがねぇ。やらせが入ってませんか。いや、それもいいでしょう。みえみえであってもこの際飾り付けはいろいろあった方がいろんなところで遊べちゃいますから。
そんな満ち足りた独身間宮兄弟ではあったが、2人共恋人がいなかった……。
というわけでここから、物語は正しい方向に邁進することになるのだが、カレーパーティから浴衣パーティになっても、核心に触れようとしないというのがねー。
兄弟に第三種接近遭遇するのは、葛原依子先生(常盤貴子)、ビデオ店員の本間直美(沢尻エリカ)、その妹の夕美(北川景子)に、明信の会社の先輩(高島政宏)の妻さおり(戸田菜穂)たちだ。
彼女たちにはすでにそれぞれ相手がいて、健全故に問題があったり修羅場だったりするのだけど、間宮兄弟の方は、いろいろあるものの結局はふられてしまって「2人でこれからも暮らそう。静かに今まで通りに」って言うことになる。
「正しいことに真っ直ぐ向かって進みたい」という気持ちはわかるし、ちゃんと生活しているのだからそこは応援したくなるが、母親(中島みゆき)が「女の人にもてなくってもたいしたことじゃない」と言って台無しにしている感じがなくもない。兄弟でここまで気が合ったらそれは居心地がよさそうだけど、でもそんなふうにしていたら、それは違うでしょう。……としか言えないのだけど。
変わった兄弟の生活を覗き見しているぶんには面白いのだが、いくらここを覗いていても肝心なものはちっとも見えないのだな。続篇か、本間姉妹篇を期待。野球少年にいいようにされてる(でも憎めない)直美(2度の「断る」がよかった)や、彼氏にフランスへ行かれてしまう(徹信ではないが、あなどれない)夕美の姉妹のその後を見てみたい。
MDがiPodに完敗した映画でもありました。
続いて新宿武蔵野館2で『ピンクパンサー』(The Pink Panther)。
懐かしのピンクパンサーが帰ってきた! が、思い出すのはあの音楽とアニメ(この新作でも使われている)だけ。ブレーク・エドワーズのピーター・セラーズ版のどれかは観ているはずなのに、何も覚えていないというのがねー。
パリで中国とのサッカーの試合に勝利したフランスチームだが、競技場で監督が殺され、身につけていたピンクパンサーというダイヤも消えていた。ドレフュス警視(ケヴィン・クライン)は自らの捜査を秘密裏に行うため、マスコミ対策用に、また犯人を油断させることにもなると、あえておばかなジャック・クルーゾー(スティーブ・マーティン)を警部に抜擢する。
ギャグはてんこ盛りだが、どれも恐ろしく古くさい。特にのっけの電動車椅子の電気を逆につないだり、2人乗りの小さな車(スマート)を縦列駐車で前後の車にぶつけてしまうあたりは程度が悪く行き先を案じたが、途中からはなんとか調子が上がってきたような……。慣れの問題かや。笑うつもりで寄席に行くのとそうでない場合の違いのようなもので、その気でおばかなクルーゾーに付き合う覚悟はいるかもしれない。
無能で何もわかっていないクルーゾーだが、自分の大チョンボにはさすがにシュンとなってしまう。が、それはともかく、そこから事件の解決まで急にまともになってしまうのは妙だ。一方してやったりのはずのドレフュス警視が逆にかなりいい加減で、クルーゾーと代わり映えしないとなると……。これはちょっと脚本を作り間違えたかなぁ。切れ者がおばかにどうしてかやられてしまうという図にはなっていないのだ。
ダイヤのありかを偶然発見したのはよしとしても、そのあとのクルーゾーの推理とおばかぶりが結びつかないのでは、単純に喝采を送るわけにはいかない。性格的に悪者だったドレフュス警視だが、クルーゾーのおいたに散々我慢させられたあげく、最後(もうここではおばかなクルーゾーに戻っている)にも恐怖の体験が待っていると来ては、同情せざるを得なくなる。ケヴィン・クラインはよくこの役を受けたよなぁ。
ジャン・レノは、ドレフュス警視の命でクルーゾーの見張りをする地味なポントン刑事役。露出度の割には活躍場面が少なくて、ただの冴えないおっさんどまりだった。殺された監督の恋人(歌手)にビヨンセ・ノウルズ。クライヴ・オーウェン(006役だから、彼はもうけ)やジェイソン・ステイサムも顔を見せる。クルーゾーになりきったスティーブ・マーティンは、さすが主役でした。
本屋で時間調整をしていて、ちくま文庫のカバーの紙質が一部変わっていることに気付く。お、やっと代える気になったのだろうか。今のカバーは(昔は講談社文庫などもこれだった)新品感がなく、汚れも付きやすいから大歓迎。筑摩側としてもメリットが大きいと思うんだが。
最後は新宿ミラノ座で『Goal! ゴール!』(Goal!)。
LAのヒスパニック地区で父の下で庭師として働く、サッカー好きサンティアゴ・ムネス(クノ・ベッカー)のプレーが、ニューカッスル・ユナイテッドの元選手でスカウトだったこともあるグレン・フォイ(スティーヴン・ディレイン)の目に止まる。
10歳の時の不法入国、仕事一筋の父親との確執、祖母の愛情、持病の喘息、恋、いやがらせ、スター選手の暴走、父の死、怪我で脱落していく仲間などのエピソードを手際よく織り込み、サンティアゴがニューカッスル・ユナイテッドの一員となって活躍するまでが描かれる。
が、語られる話のどれもがありきたりで、面白くないのだ。いや、そんなにひどくはないのだが、平均点以上でもなければ以下でもないといったデキ。いくつもやってくる危機もするりと手が差し伸べられて落着という感じのものばかりだし。
FIFA初のオフィシャル・サポート映画といったって、サッカーシーンとなれば実際の試合にはかないっこないし、スタジアムの臨場感は出ていても試合の流れに配慮しているわけではないから、肝心のところで盛り上がらない。
次ぎはレアルマドリードで第3部はワールドカップが舞台ということが決まっているそうな。そこまでレールに乗っかっちゃってるんだ。でもまあ舞台限定なんだったら、今回のように盛り沢山ではあっても山場のない映画にはならずにすむかしらね。
新しい眼鏡があまりよく見えないことが、今日外出してはっきりした。見えすぎてくらくらした経験はあるが、見えなくてもこんなに疲れるとは。映画のように座ったまま見ている分にはほとんど気にならないのだが、問題は歩いている時で、駅の構内の表示板が見えないのには閉口した。
明日はまた眼鏡屋に行かなくては。土日だから、遠近用のも制作はほとんど進行していないだろうし(1週間はかかると言われた)。 |